今日は1年目の大学院生からこんな質問を受けました。
「今自分が書こうと思っている症例報告に似た先行研究を見てるんですけど、症例報告自体はそれなりにあるのに、あまり画像にまで細かく触れてるものはないんです。どうしてですか?」
それは日本の強みです。
日本は研究がしにくい?
昨今、アメリカや中国、ヨーロッパと比較すると、次のような点で日本は研究がしにくいと言われています。
- 年々研究費が減っている
- 多くの病院が同じような機能を持つため、患者が分散し、一つの疾患が一つの施設だけでは集めにくい
- 多施設共同研究をスムーズに行うインフラがない
- 膨大な事務作業に研究者が忙殺され、肝心の研究が進まない
国際学会に行ったりすると、ひどいカルチャーショックを受けることがあります。
例えば、日本で20施設くらいでなんとか100例集めて多施設共同研究を行った疾患が、ヨーロッパだとその疾患を診療する施設が国全体で3施設しかなく、そこに集約されるのですぐに症例数が稼げる、だとか、アメリカだと被験者が一度同意をすれば、オンラインで各施設の情報をすぐに収集できるから1000例単位で目的のデータをすぐに集められる、だとか。
研究費や事務作業のことは昔から言われていますが、このようなインフラ面での違いが非常に大きくなってきていると感じます。
日本の医学研究の強みは何?
医学研究をするにあたって、日本が他の国より優れたインフラがあるとすればなんでしょう。
その一つは、圧倒的に多いCTやMRIなどの画像機器です。
私たちは日常的に普通にMRIを用いていますが、海外では日本ほどMRIは多くなく、私たちが平気でMRIを使うような場面をCTで対応している事も珍しくありません。
なので、症例報告であまりこのような画像に言及したものがないのはそれほど不思議なことではないのかもしれません。
日本の医学研究ではこのような画像検査を使うと、海外の研究者と差別化を図ることができるかもしれません。
所属施設の/自分の強みはなんだろう?
日本の強み、というスケールよりも、もっと身近なスケールで強みを考える事も重要でしょう。
例えば自分の所属施設の強みはなんなのか。
あるいは自分自身の強みはなんなのか。
・・・おかしい、私自身の強みがパッと思い浮かびません。
まずは自分の強み探しをしてみようかしら。