学会発表で出てきた参考文献を探すために控えるべき最小限の情報と検索の方法

文献検索に必要な最低限の情報 文献検索
文献検索に必要な最低限の情報

明日から第43回日本神経心理学会学術集会に参加予定です。

学会発表ではよく先行研究の文献情報が提示されることがあり、興味深いと思った先行研究はメモしてあとで検索して読んだりします。

でも、長いタイトルをメモしているうちにスライドが切り替わって、論文を特定できる情報をメモしきれなかった上に、メモに集中していたせいで話の内容までわからなくなってしまう、なんてことよくありません?

後で検索して論文を特定するために、最低限どんな情報を控え、どうやって検索すればいいか、ここでは僕が普段やってることを紹介します。

また、逆にこれだけのことを提示すれば、見てくれた人に参考文献を特定してもらえる、と知れば、自分の学会発表の時にどこまで提示すればいいかもわかります。

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文献特定に必要な情報

参考文献の提示の方法は様々ですが、今まで見た中で代表的なものをまずは列挙。

提示法
論文のようにびっしりMesulam MM, Wieneke C, Thompson C, et al. Quantitative classification of primary progressive aphasia at early and mild impairment stages. Brain. 2012;135:1537-53.
簡易版Mesulam MM et al. Brain 2012: 1537-53
PMIDのみPMID: 22525158
論文表紙の上部の画像貼り付け

文献特定のために必要な情報を考えると、このような提示から次のようなものを目的に合わせて控えるといいかなと思ってます。

必要な情報メリットデメリット
筆頭著者
掲載雑誌
少ない情報量で控えやすい時々同じ年に同じ雑誌に同じ名前の筆頭著者の論文があって混乱することも
論文タイトル該当論文だけでなく、似た内容の論文もひっかけられて、目的の複数論文にたどり着ける長い。控えている間にスライドが変わったり話についていけなくなる。
PMIDすぐ控えられ、論文を確実に1つ特定できる数字を間違ってメモしたら最悪。演者が間違って記載してしまった、ということもあるかも。あまり浸透していないのでPMIDを提示する演者は少ない。

筆頭著者、掲載雑誌、年から論文を見つける

僕はあとで見たい論文が紹介されたら、一番最初の「筆頭著者、掲載雑誌、年」を控えてます。

この3つからPubMedで効率よく該当論文を見つけるには、検索キーワードの属性を指定してやればOKです。

例えばMesulamが筆頭著者で、Brainに2012年に掲載された論文の検索式はこんな感じ。


((Mesulam[Author – First]) AND “Brain”[Journal]) AND (“2012/1/1″[Date – Publication] : “2013/1/1″[Date – Publication])

[Author – First]はキーワードが1st authorであること、[Journal]はキーワードが掲載雑誌であること、(“2012/1/1″[Date – Publication] : “2013/1/1″[Date – Publication])は出版されたが2012/1/1から2013/1/1であること(つまり2012年中)をそれぞれ指定してます。

ANDは3つのキーワードを全て含む論文を検索するための指定です。

この属性指定タグをいちいち打つのが面倒な場合は、PubMedの検索窓の直下に”Advanced”というのがあるので、そこをクリックしてみてください。

PubMedトップページのAdvancedリンク

すると、各キーワードをどのような属性で検索するかを簡単に指定できるページに映ります。僕も普段これを使って色々検索を工夫してます。

Advancedでの検索画面

実際にこの検索で、MesulamのPrimary Progressive Aphasiaの3タイプに関する論文が1つ特定できました。

PMIDを利用する

PMIDはPubMed Unique Identifierのことで、PubMedが各論文に一意につけているIDです。なので、このIDがわかれば確実に1つの論文が特定できます。

PubMedで検索すると、検索結果の雑誌名の下や、Abstractの下の方にちっちゃく”PMID:********“と書かれているそれです。

PMIDから論文のアブストラクトに飛ぶのはとても簡単で、PubMedトップページのURLの後ろに/をつけ、PMIDの数字を追加すれば一発です。

例えば、さっきのMesulamの論文のPMIDは22525158なので、

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22525158

というURLを打ち込めばこの論文のページに飛びます。

ただ、この方法、学会だと怖くないですか?僕は間違ったPMIDを書き写す自信があります。それに多分この方法で論文を紹介している人は今の所ごく一部かと思います。

医学書院が発行している「週刊医学会新聞」が参考文献一覧にPMIDと雑誌名、発行年を記載しています。こういうあとでいつでも見返せる媒体だとPMIDで提示してくれるのはとてもありがたいです。

学会発表だと、抄録やポスター発表でこの方法で提示されたらすごくいいかもしれない。口頭発表だとちょっと怖いです。

学会発表で参考文献を提示するなら

よく学会発表で先行研究の知見を紹介するときに、すごく小さな字で文献情報を提示していたり(そもそもしていなかったり)しますが、その先行研究を本当に聴衆に知って欲しいのか?と思ってしまいます。

発表を聞いている身としては、あとで調べたいと思うこともあるので、ぜひ見えるフォントサイズで書いて欲しいです。

ただ、論文名まで載せたりすると非常に長くなるので、


学会発表で提示する先行研究情報

・口頭発表なら「筆頭著者 et al. 掲載雑誌名 発行年」

・ポスター発表なら PMID(ただし正確に!!)

という記載が必要十分でスペースも取らず、いいんじゃないかと思います。

特に、ポスター発表の場合は、参考文献情報を載せたいけど、スペースが足りない!と悩むことも多いのでは?

必要最小限の情報で参考文献を提示しましょう。

文献検索に必要な最低限の情報

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